豊平館のためのインスタレーション
2010.11.12(Fri)-19(Fri)
豊平館 札幌市中島公園内
「Time bloom〜時が咲く〜」
使用メディア:ノートPC、プロジェクタ−、いけばなの映像インスタレーション
草月SYC1との恊働制作
豊平館(国指定重要文化財)、札幌 2010.11
本作品は、生のエネルギーを象徴的に表す 「根」に着目した「Reincarnation」と対になる作品です。
現代の都市では、建築物はデジタル(断続)的な変化を遂げていきます。目まぐるしく変化する街並みは毎日リセットされるデジタル時計のようであり、永続的に咲き続ける人工の造花のようでもあります。しかし、私達はそのような環境で、生の現実をごまかしているのではないでしょうか?なぜなら、人の営みとは何かを蓄積し、同時に失うアナログ(連続的)なものだからです。その両方を同時に浮かび上がらせる人の営みの集合的記憶として、歴史的建築は保全されていくべきだと考えます。
歴史とは今、ここにいる私達を映す鏡のようなものです。対して、私達の記憶は移ろいやすく儚い生花のようなものです。 本作品では、枯れ木に投射された数字の映像が、シルエットとなって壁面で結び合わされています。本来目に見えない「時間」をデジタル数字の花に見立て、現在の時を年から1/100秒まで表示しています。時の可視化によって、この瞬間が私達にとっていかに儚く、かけがえのないものであるかを表すと同時に、一見関係しないように見える個人の独立した「時」が、影として一本の木となり、出会いや別れ、全てのものごとが分ちがたく結ばれた存在である事を示唆しています。
そう、「私」と「あなた」は歴史のどこかでつながっているのです。
私達を結びつける豊平館の130年目を祝して
「Reincarnation〜日常のGL〜」
使用メディア:DVD、プロジェクタ−、いけばなの映像インスタレーション
草月SYC1との恊働制作
豊平館(国指定重要文化財)、札幌
2010.11
本作品は花をテーマにした合同展覧会のために、草月SYCという生け花の団体と恊働し、古典と現代アートの融合を目指すインスタレーションです。生け花は、文字通り生きた草花を用い、はかなさを伴った美を生み出します。今回は視点を変えて本来表されない「根」をモチーフとしました。つまり、ほとんどの植物でその開花と結実を支えるのは「根」であり、現代の都市生活において、目には見えないけれど、私達を「支えるもの」に焦点をあてたいと考えました。非日常ではなく、日常の不可視のGL(グランドレベル)に潜ってみること。そしてその闇の中からともしびを見出すためです。
この生命の「根」を、流木を用いて構成し、壁面の近くに配置します。切り株のような切断面を日常の境界として設定します。豊平館の外壁に塗られている「ウルトラマリンブルー」を塗布し、時間の編集によって永続的に灯り続ける蝋燭のイメージを繰り返し投射して、お互いの影を結びつけます。映像は電気エネルギーを光に変換して得られる儚い像であり、「ろうそく」のイメージは、一度消えていくが、不自然にまた灯り始めます。この現代社会においてエネルギーは無限であるかのように。
人の営みが高度になり、いくら自然の成り立ちを意識から遠ざけようとも、資源への依存は増加する一方です。私達人間は「根」から切り離されては生きられないことを意味しています。
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