AISプランニング主催アートインスクール 2011年おとどけアート〜転校生はアーティスト!〜
「摩訶不思議プロジェクト MAKAFUSHIGI PROJECT」
in あいの里西小学校
2011年11月28日〜12月16日
アーティストが転校生として小学校にスタジオを構え、休み時間や放課後に制作に触れ、参加する機会を作るという、AISプランニング主催の「おとどけけアート」のために企画したワークショップ形式のプロジェクト。約3週間、札幌のあいの里西小学校で行われた。まず、エントランスに「MAKAMAKA LAB」を設置。昔ながらの遊びをお手本に、身の回りのデジタル機器(PC、スキャナ、カメラ、ムービーカメラ、プロジェクター、モニターなど)を使って遊びをバージョンアップする。みじかな材料で、遊び、作る作業を通して、新しい発見をすること、用意された遊びではなく、自分たちで作る「あそび」の楽しさを伝えたいと考えた。基本的に以下の2つのムカシアソビを軸に展開していった。
1.「フクワライw 2.0」自分の顔のパーツや、身近なものをスキャンし、コンピュータで加工し、プリントアウトして、写真コラージュの仮面やコスチュームを作り、オリジナルキャラクター「マカマカ人」を制作してもらう。
2.「ダルマサンガ 2.0」
カメラのインターバル撮影で、ストップモーションやタイムリマップなどの専門的な映像手法を実践しながら、学校にあるいろいろなものや場所を使って、不思議な映像インスタレーションを展開する。また、誰もいない夜の学校が「マカマカ人」にジャックされたと想定し、インスタレーションとリンクする摩訶不思議なショートムービーを制作して上映を行う。
放送委員会と協力し、お昼の放送で「MAKAMAKA TV」を企画。リアルタイムで制作されるアニメーション作品を放送し、反応をフィードバックし、また制作に反映させるというプロセスをとった。
プロジェクトの最後には、ラボでの展示と、エントランスでのウェルカム映像インスタレーションを展示。「MAKAMAKA NIGHT」と題して、放課後の体育館で総まとめ的な映像作品公開し、先生が演劇を上演、それと繋がる形でオリジナルで制作した「マカマカたいそう」を組み込んだダンスパーティーを開催。学校側主催の「子どもチャレンジ」では、理科室と音楽室に、「まちがいさがし」的なインスタレーションを展開。学校行事と連携したゲーム性を持ったアートツアーを企画した。
MAKAMAKA LAB
ハブ空間のエントランスにオープンラボを設置。撮影以外の大半はここで作業。休み時間や帰宅前など、子供達と制作・ワークショップを行う。主に「ふくわらい」のパーツを貼ったりをしてもらう場所だが、映像編集や、撮影の小道具を作ったり、机の上で文房具などをアニメーション実際に作ったりもした。制作したものをモニターですぐ確認できるようにした。きれいなトップライトの採光と、床暖房があるフロアは居心地がいい。当初ラボは図工室の中にという選択肢もあったが、動線を見てここに落ち着いた。正面が体育館。最終的には、2Fから映像を投射して、床面にくつが動きまわるという映像インスタレーションを展開。
MAKAMAKA TV
給食時間、お昼の校内放送で計5作品のショートフィルム上映や、告知などを行った。海外からのS-AIRのレジデンスアーティストが遊びにきてくれたので、出演してもらうサプライズも。マカマカたいそうは後半しつこいほど流したので、割とみんな覚えてくれた。放送を通して、オペレーションの向上に貢献できたように思う。
放送したアニメーションの詳細は、こちらからご覧になれます。
マカフシギをさがせ! @音楽室と理科室
見慣れたものに少し手を加えて、空間を使った「まちがいさがし」を実施。デジタル合成や、コピーを使ったふくわらいの応用版。学内の子供チャレンジというゲーム性のある行事と連携する形で展示を行った。理科室には11人のマカマカ人が潜んでおりそれを全て探し出すとクリア。音楽室はポスターのヘンデルの顔が校長先生にすり替わっている。これらは最後の映像作品にも登場する。
MAKAMAKAたいそう
M.A.K.Aのアルファベットを身体でつくりそろえるパートと、MAKAMAKA…で自由に踊るパートを繰り返す低学年でも踊れる簡単な体操。みんなが踊れるように給食時間に繰り返し放送。
MAKAMAKA NIGHT
父兄同伴で体育館で開催したパーティ。TVで放送した分と、初めて公開するプロジェクトの総まとめ的なアニメーション「MAKAMAKA REMIX」を上映後、先生方の演劇ユニットANTと寸劇を上演。学校のシンボルキャラクター時計塔の「ここちゃん」が、良い行いを見てこころを取り戻していくストーリー。映像演出でお手伝い。ミラーボールが回り始めて最後のマカマカダンスで盛り上がる!
「MAKAMAKA REMIX」( 映像作品)はこちらからご覧になれます。
プロジェクトを終えて
ふくわらいに2.0は、学校側との話し合いで、からだをパーツ化して取り扱う際に、個人を特定したり、やりすぎが懸念されるセンシティブな問題であるということで、アーティスト自身の顔を素材とする形に変更した。
プロジェクトの方向性として、なるべく、やってはいけないことを減らすこと、また、素材や被写体は、持ち込むのではなく、なるべく学内にある既存のものを使うことを心がけた。そのために、学校側の理解と協力が不可欠だという印象を受けた。場所性を活かし、要素を取り込んでいく制作方法をとる事で、日々目にする何気ないものが変化し、子供達により深い印象を与えることができたように思う。高度な映像制作のプロセスに触れるだけでなく、自発的なアイデア出しや、制作そのものを促す仕掛けをした。プロジェクトの成果は、映像作品はもちろんのこと、先生方も含め、子供達の発見や、アートに対する印象の変化にあり、それを、肌で感じることができたのは貴重な時間だった。また、普段は入れない小学校をロケーションとして制作ができた事は、場所の特殊性もあいまって非常に有意義なものであった。
AISプランニング アーティスト・イン・スクール事業紹介
http://ais-p.jp/activity/artist-in-school/
TOPへ戻る> |