「31の旅 Thirty-one voyage ミギシのためのアニメーション Op.1」
Video,Color,6m5s
@三岸好太郎美術館
2016年1月30日(土)〜3月27日(日)
北海道立三岸好太郎美術館 所蔵品展第4期・三岸好太郎の世界 好太郞ライジング ―若き日の挑戦」で映像作品を展示しています。31という数は、1月8日、9日に行った2日間にわたるアニメーション制作のワークショップに参加した子どたちと、その保護者のみなさんを指しています。三岸は海を渡る蝶のファンタジーに心を寄せていました。また、アートの創作の軌跡は、ある種の旅だと考えこのようなタイトルにしました。
本作品は、「筆彩素描集」の海洋を渡る蝶と、晩年の代表作「飛ぶ蝶」から発想した2つのパートからなります。アニメーションに関するブリーフィングと、ホワイトボードを使ってひとりずつ一フレーム描いていくエクササイズを準備段階として、参加者である「保護者−子ども」の恊働、さらにその「保−子」と「保−子」の恊働によって作品ができあがってゆきます。
パート1
蝶が羽ばたく6フレームループの線画をプリントアウトして用意します。簡単に言えば塗り絵のようなものですが、互いの絵の前後関係を把握しながら進めるように指示します。例えば、誰かが画面に魚を書き加えれば、その前後を他の人もつながるように書き加えることになります。同時に、アニメーションとして考えた時に、「全てが同じ絵や色だと変化に乏しく退屈だ」と変化を促します。自身のアイデアと、他人のアイデアがコンフリクトする状況で、お互いにコミュニケーションを取りながら、一つの時間の流れを作りだす恊働制作を体験します。ここで保護者の役割は大きく、多くは子どもと子どもの間に緩衝材になる1フレームを描いているのが印象的でした。
走馬灯のように目まぐるしく変わる海洋の風景と、そこに漂う蝶には2つの別々の時間が流れているように見えます。
パート2
「飛ぶ蝶」は、想像上の蝶がピンはねのけて飛び出す瞬間をとらえた絵画作品です。様式のカテゴライズをはねのけて飛び出したい。そんな三岸の思いが反映されていると言われています。このパートでは、各々が自由に一匹の蝶のアニメーションを描いてもらいます。制限はそれほどなく、どのように飛ぶか、何フレームで動くかは各々の判断にまかされます。
パート1とは逆に、各々のイマジネーション、個の表出を重視し、それぞれの発想を尊重し、できるだけチャレンジを促します。全く羽ばたかない蝶もいれば、起承転結のような高度なストーリーを表現しようとする子もいます。その飛び方は、私たちが考える以上に多様であり、それぞれに面白いのです。
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