INSTALLATION


「まぼろしのいえ VIRTUALHOUSE」
with RIE KAWAKAMI

9.16-9.29,2011

会場のギャラリー門馬は、単一機能のギャラリーではなく、前オーナーの住居兼アトリエでもあり、家の記憶を残している場所です。タイトルは、そのような「いえ」の場所性を意味し、「まぼろし」は、近代から理想としてきた核家族モデルの社会が崩れつつあることを示唆しています。混乱の時代にあって、現代社会の前提となる「普通」のものごとが、いかに危うく脆いものであるかが明らかになってきています。生きるために必要な「普通とはそもそも何であったのか?」をテーマに作品制作をしたいと考えるに至りました。「いえ」というテーマを枠組みとして、日用品を改変し、編集することによって鑑賞者の認識に揺さぶりをかけ、「普通」を解体する経験を通して、私たちを支えている自明とされているものごとに、いかにバイアスがかかっているかを問いかけます。しかし、これらの行為は誤りを証明し、責任の所在を明らかにするためではありません。そうではなく、その体験が意識を変える媒介として作用すること。会話を促し、可能性として開かれた「考える」場を作り出すためです。また、表現形式の異なる二人の作家が協働し、対話を元に制作していく手法は、アートのオリジナリティは何か?という根本的な問いとなり得ます。アーティストが互いに接点を見出し、つながる可能性の一端を見せることによって、同時に鑑賞者にも開かれるという点で、一定の成果をあげられたと考えています。
 作品タイトルは、全て動詞とし、作品は「もの」そのものではないことを表しました。そこで起こった進行形の体験や思考の動きそのものに価値を見いだすべきだと考えたからです。しかし、本展ではインスタレーションごとにはっきり異なったテーマが設定されていたこともあり、ホワイトキューブ的な見せ方となったことは否めません。本展を踏まえて、今後は作品同士のナラティブな流れ、対話によって促される思考のプロセスを組み込む即興性や、コミュニケーションの結果得られるフィードバックに取り込みたいと考えています。展示=鑑賞という静的な仕組みではなく、今そこで行われる動的なベクトルでアートを捉え直すことで、インスタレーションの密度がより高いものとなると考えます。

http://www.g-monma.com/

Description of each works in this exhibition

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